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第4回 アクティビストフォーラム

2019.06.18

 

 

 

先日、マネックス証券が開催する「アクティビストフォーラム」に参加してきました。

本日は、そこで感じた国内外のアクティビストの進化する投資戦略について綴っていきたいと思います。

 

―出演者紹介-

・レオス・キャピタルワークス株式会社 

 代表取締役社長・最高投資責任者         

 藤野 英人 氏

 

WisdomTree Asset Management

 Senior Adviser                

 イェスパー・コール 氏

 

・早稲田大学大学院

 会計研究科客員教授              

 柳 良平 氏

 

ローン・アルファ・キャピタル・マネジメント

 最高投資責任者                

 紫垣 拓也 氏

 

スパークス・アセット・マネジメント株式会社

 マーケティング本部エグゼクティブ・ダイレクター チーフ・エコノミスト 

 清水 孝章 氏

 

ひびき・パース・アドバイザーズ

 代表取締役社長・投資責任者          

 清水 雄也 氏

 

ファーツリー・パートナーズ

 マネージング・ディレクター兼パートナー    

 アーロン・スターン 氏

 

タイヨウ・パシフィック・パートナーズ

 CEO兼ファウンディング・パートナー

 ブライアン・ヘイウッド 氏

 

オアシス・マネジメント

 最高投資責任者        

 セス・H・フィッシャー  氏

 

マネックス証券株式会社

 代表取締役会長

 松本 大 氏

 

マネックス証券株式会社

 チーフ・ストラテジスト

 広木 隆 氏

 

マネックス証券株式会社

 マネックス証券 チーフ・アナリスト兼マネックス・ユニバーシティ長 マネックスクリプトバンク株式会社 マネックス仮想通貨研究所所長

 大槻 奈那 氏

 

 

 

本題に入る前に少しだけ、株式分布状況の変化を確認してみましょう。

1990年代後半から2000年代前半にかけて銀行の株式保有比率は減少傾向にあり、代わりに個人投資家と外国人投資家がその受け皿となって保有の比率を伸ばしてきました。

2017年度の全国の証券取引所に上場している上場会社の個人株主数は、前年度と比べて162 万人(3.3%)増加し、5,129 万人となっており、はじめて5,000万人の大台を超え、2014 年度からは4年連続で増加する結果となっています。

 

 

 

 

 

日本株の約3割を海外投資家が保有していることから、日本株に期待が集まっているといえるのではないでしょうか。

今回フォーラムに参加したアクティビストは、いずれも日本の株式市場に勝機を見出しています。

 

ちなみに、アクティビストといってもその投資手法は様々で、例えば以下に挙げたアクティビストは積極的に株主提案を行っていますが、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに関しては積極的な株主提案を行うわけではなく、あくまで株主からのアドバイスという立場で投資対象の企業と寄り添う形式をとっています。

 

一方で投資戦略こそ異なるものの、いずれのアクティビストも非常に近い考えをもっていることがわかりました。以下、各アクティビストのプレゼンから一部をご紹介します。

◇どれだけ素晴らしい技術や知財を保有していても、脆弱なガバナンスでは真価を発揮することはできない。

◇目的のある内部留保に関しては指摘しないが、使い道がない内部留保に関しては株主還元に充てるべきである。

◇会社が一番大事にするものは株主でも、ステークホルダーでもなく、利益を出すことである。利益を出さなければ何一つ守ることができない。

◇企業が株主に行うことは敵対することではなく、協力して成長させていくことである。

 

このように株主還元はあくまで一つの選択肢であり、企業の成長戦略を描けるのであれば事業投資に充てるべきであるが、成長戦略が描けないのであれば、いつまでも内部留保をため込むのではなく、株主還元に充てるべきであると考えます。

最近では、なかなか変革をおこさない日本の株式市場に嫌気がさし、日本の株式市場に未来はないと言っている方もいますが、我々はそう思ってはいません。

 

すでにROEが15%前後あるアメリカの基準をさらに引き上げることに比べ、ROE9%前後の日本の基準を引き上げることのほうが圧倒的に容易であり、日本にはそれに見合うだけの十分な実力を持った企業が多々あるというのが、我々の見解です。

また、アクティビストフォーラムのパネルディスカッションに参加したウィズダムツリーアセットマネジメントのイェスパー・コール氏は、かの有名なウォーレン・バフェット氏が今一番興味を持っている市場は日本の株式市場であると、彼との対談の様子を語っていました。

 

 

さて、ではなぜ、機関投資家から莫大な資金を預かるアクティビストが、一般投資家に対しフォーラムを行う必要があるのでしょうか?

 

実は、ここにアクティビストの戦略が隠されています。

 

もちろん、個人投資家と日本企業のコミュニケーションを改善し、企業の株主還元の見直しや個人投資家の企業理解を進め、適切な議決権行使を促進し、日本株の評価を高めるといった主催者側の思いもあります。

今回のフォーラムに著名なアクティビストが参加した一番の戦略は、日本の個人投資家の考えを変えることだと推測できます。最近では、「コーポレートガバナンス・コード」、「スチュワードシップ・コード」の影響により、株主提案は増加傾向にあります。

しかし、会社関係者の持株比率が高い(持ち合い関係等)場合には、どれだけ的を得た株主提案を行っても否決される可能性が高く、提案自体は増加傾向にあるものの、そのほとんどは否決となり、株主側の意向は反映されていないというのが今の現状です。

 

 

この日本市場の現状を変革するためには、株主一人ひとりが変わる必要があります。アクティビストと同じ考えを持つ個人投資家が増え、市場に参加することによって、経営陣は緊張感が増し、本気で成長戦略を見出さなければ淘汰されていく状況がおとずれます。

企業と株主とが互いに責任を果たし、役割を果たしていれば改善できる事象はたくさんあるでしょう。

 

昨今問題視されているのが、機関投資家と個人投資家とで、入手できる情報などに差があることや、個人投資家が物言わぬ株主であることで適正な議決権行使がなされていないことなどがあります。

企業側が開示する資料のなかには機関投資家に向けたものがあり、同じ株主であるにも関わらず、個人投資家には伝わりにくい情報があるのです。また、物言わぬ株主の存在により、適正な議決行使が行われないことで、株式会社の仕組みそのものが機能しなくなることが危惧されます。経営陣の襟を正す役割であるはずの株主が、意識の低さによって、株主の責務を果たせていないのが現状です。

 

日本株は多くの個人投資家に保有されており、個人投資家が動くことで日本の市場に変革をもたらすことが可能となります。

個人は企業を深く理解し、適切な議決権行使をすることで責任を果たし、企業は個人投資家目線になり、適切で良好な関係構築のため努力する必要があるのです。互いにその責任を果たせばおのずと良い結果がついてくるでしょう。

 

今回のアクティビストフォーラムのような取り組みは、日本市場を改革するうえで非常に意味のあるものだと考えています。

 

株式を保有されている方は、是非、投資先企業のことやご自身の議決権行使について、今一度真剣に考えてみてください。

 

それぞれが責任を果たせば、市場はより成長していくことでしょう。