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第6回 上場会社

2019.10.09

 

 

 

今回は上場会社について、簡単に考察していきたいと思います。

 

まず、上場会社について考察する前に株式会社とはどのような組織なのか説明します。

株式会社とは、株式を発行し、投資家などから資金調達をして、その資金で事業活動を行う会社であり、会社法が改訂された現在では1円からでも株式会社を設立することが可能となっています。

 

株式会社の資本と経営についての基本的な考え方としては双方が分離しており、資本を提供した株主が株主総会の決議によって選ばれた経営者に、事実上の経営をまかせるといったしくみになっております。

 

しかし、株式会社の大半は、創業者が大半の株式を保有し、なおかつ経営者であるオーナー経営者が一般的です。次第に会社の規模が大きくなっていくにつれて株主が増え、経営と資本の関係が分かれていくといったケースが多くみられます。

 

資本を供給している株主は、株式会社の最高意思決定機関である株主総会において、取締役や監査役などの役員を解選任し、会社の経営をまかせます。そして、具体的な業務に関することなどは、取締役会において決められるのです。

 

また、株式会社には上場会社と非上場会社があります。

一般的な非上場の株式会社が資金調達を行う際には、主に金融機関からの借り入れか、株式を発行して株主から資金を調達するかの2通りがありますが、上場会社はそれにプラスして公募で多数の一般投資家から資本参加を求め、資金調達することが可能となります。

 

これが上場会社と非上場会社との違いです。

 

日本における上場会社は、2018年度末時点で3,655社となっており、そのうち、2,128社が東証一部に上場しています。

 

上場会社の約9割が上場しているといわれる「東京証券取引所」ですが、大きく3つの市場に分けられています。

 

一つ目は東証一部で、上述したように2018年度末時点で2,128社が上場する市場であり、審査基準が最も厳しい市場になっています。

 

二つ目は東証二部で、東証一部の次に審査基準が厳しい市場となっていて2018年度末時点で493社が上場している市場になります。

 

三つ目は東証マザーズで、ベンチャー企業や新興企業向けの市場となっており、将来、東証一部や東証二部への上場を目指す比較的若い成長企業が多い市場になっています。東証マザーズは、2018年末度末時点で275社が上場している市場になります。

また、東証マザーズとよく似たJASDAQ市場という市場もあります。

 

JASDAQ市場は、一定の事業規模や実績のある成長企業や特徴的な技術・ビジネスモデルを持っている企業など様々な企業が上場しています。

JASDAQもまた、ベンチャー企業向けの市場で「スタンダード」と「グロース」の大きく2つに区分されています。「スタンダード」は比較的安定した企業が多く上場しており、「グロース」はより成長性を重視した市場となっているのが特徴です。2018年度末時点でJASDAQスタンダードは688社、JASDAQグロースは37社が上場しています。

 

上場会社は、証券取引所で発行株式を公開することで株式の売買が自由にできるようになります。上場するためには、ある一定の基準をクリアしなければなりませんが、上場することで第三者からの資金調達が容易になることや会社の知名度が上がる、取引先からの信用を得られるなど大きなメリットがあると考えられています。前述したように、上場すると証券取引所で株式が自由に売買されることになり、会社が創業者の手から離れて、社会の公器となることを意味しています。

 

上場会社が株式を上場し、エクイティ・ファイナンスで得ている資金はバランスシート上の資本の部に分類され、銀行借入とは違い自己資本となることから返済の必要がない一方で、新規上場にかかる費用に加え、上場後も上場を維持するための費用が生じます。

上場時にかかる費用については、一般的に少なくとも5000万円以上は必要であると言われおり、上場コンサルを請け負う証券会社や調査や内部統制コンサルを請け負う監査法人、株式事務の代行を請け負う信託銀行や、上場審査を請け負う証券取引所や上場申請書類の作成を請け負う印刷会社など多額の費用が必要になります。

また、上場後の上場維持にかかる費用は「年間上場料」と呼ばれており、各市場や上場時の時価総額によっても価格が異なります。

 

年間上場料

 

表の通り上場維持をするためには、年間上場料だけでも決して安いとは言えない費用がかかります。また年間上場料以外にも、監査報酬や諸々のコンサル料等がかかるうえに、会社を創業者の手から離してまで上場するメリットとはどのようなものなのでしょうか。

また、メリットの反面、上場のデメリットについても以下の表に簡単にまとめました。

 

上場のメリット・デメリット

 

いかがでしょうか。

 

表にまとめたメリットは、会社経営を円滑にかつ持続的に成長させるために必要な要素です。一方で、費用や情報開示、買収リスクなどのデメリットも確実に存在することから、一概に上場していることが良いとは限りません。

 

会社経営陣が自社の株式や事業部門を譲受し、オーナーになり経営権を得るM&Aの手法のひとつでもある、「MBO(Management Buyout)」を行い、上場会社が非上場化をする事例もあります。

 

一度は上場を果たしたとしても、日々変わる世界情勢、国内市場状況や自社の成長状況等を踏まえたうえで、経営者には都度、会社のビジョンに合った選択が求められます。MBOを行い、上場会社が非上場化することで、買収リスクの軽減や、株主の意見に振り回されない中長期的な成長戦略を図ることが可能になるのです。

 

実際に、株式会社アデランスは、市場競争が激化するなか経営状況が悪化したことから、経営再建のため中長期的な事業構造の改革および経営基盤の強化のためにMBO及び上場廃止を決定しました。

 

また、すかいらーくグループはメイン事業だったファミリーレストランの業績悪化を受け、会社の抜本的な改革のためMBO及び上場廃止を実施しました。

その後、米投資ファンドのベインキャピタルの傘下に入り、経営再建を果たし2014年に再上場をしています。

 

上場会社、非上場会社それぞれにメリット、デメリットがあり会社の経営状況や成長ステージに応じて経営陣の適切な判断が求められると言えるのではないでしょうか。

 

繰り返しになりますが、株式を上場することは私企業が創業者の手を離れて、社会の公器となることです。非上場企業とは異なり、広く一般の投資家が株主となります。

株主は企業が生み出す利益を享受しますが、その反面リスクも負っていることを忘れてはいけません。

株主は資金を提供し、企業経営を経営者に託し、経営者は提供された資金を効率的に活用しながら企業成長を図ります。

したがって上場企業は、社会の公器として、社会や資金提供者である株主に対し、責任を持った経営を行う必要があるのです。