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第5回 社外役員の独立性

2019.07.10

 

 

 

今回は社外役員の独立性について綴っていきたいと思います。

 

まず、独立役員について調べてみると以下のように解説されています。

 

―独立役員-

“一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外役員(社外取締役または社外監査役)。
【補足】会社の経営陣から独立した存在であり、一般株主保護の観点から、証券取引所は、上場会社に対して1名以上の独立役員を確保することを義務付けている。社外役員であっても、兄弟会社や取引先の業務執行者、多額の報酬を得ているコンサルタントや会計・法律専門家などは独立役員として認められない。”

※引用 デジタル大辞泉

 

 

 

また、JPX日本取引所グループが開示している資料(独立役員の確保に係る実務上の留意事項2015年6月改訂版)には、以下のように記載されています。

 

独立性基準について

“東証は、「上場管理等に関するガイドライン」において、東証が一般株主と利益相反の生じるおそれがあると判断する場合の判断要素(独立性基準)を規定しており、独立性基準に抵触する場合には、独立役員として届け出ることができません。 既に独立役員に指定している者が事後的に独立性基準に抵触した場合には、直ちに独立役員届出書 (その者について独立役員の指定を解除したもの)を再提出してください。

※独立性基準の抵触の有無に係る判断は、上場会社単体で考えることで差し支えありません。ただし、独立性基準に抵触しない場合であっても、「一般株主と利益相反が生ずる おそれがない」とはいえない場合は、独立役員の要件を満たさない点に留意が必要です。例えば、上場会社が持株会 社形態であるような場合において、社外取締役・社外監 査役が重要な事業子会社の「主要な取引先」の業務執行者であるような場合においては、その者を独立役員として届け出ようとする場合、 「独立性基準」に抵触しないことが想定されますが、その者が一般株主と利益相反の生じるおそれがない者に該当するのかは、別個の検討が必要と考えられます。”

※引用 JPX日本取引所グループ~独立役員の確保に係る実務上の留意事項~

 

 

 

つまり、会社経営陣と一定の距離があり、その企業に忖度せず、公平な立場で自身の考えをはっきりと言える人が望ましいということではないでしょうか。

 

また上記資料を確認すると、独立性基準に関しては企業ごとに考えることで差し支えないが、各企業が考えた独立性基準に抵触しない場合であっても特段問題がないわけではなく、「一般株主と利益相反の生じるおそれがない者」に該当するか否かが、非常に重要なポイントであると推測することができます。

独立性基準はクリアしているものの、実際は「一般株主と利益相反の生じるおそれがない者」に該当しない可能性があるということです。

 

実際に上場企業の役員構成を確認していると、役員の独立性について疑問を抱かざるを得ない役員構成も散見されます。

本来、社外役員は、独立性が保たれた外部の目・監視役として、企業経営が適切に行われてるかをチェックする役割があります。

このように、企業経営の監視機能を担っている社外役員ですが、万が一、その外部の目としての監視が機能していなかったらどうなるでしょうか。

万が一、社外役員が外部の目としてではなく、内部の役員と同じ視点で物事を捉えていたらどうでしょうか。

結果は言うまでもありません。

これまでには様々な企業不祥事が報道されており、問題が起これば会社は信用を失い、再発防止策をはじめとした事象への対応はもちろんのこと、顧客や取引先、株主への対応をも余儀なくされます。

企業経営において、ガバナンスが機能しなくなるということは、会社が危機的状況に陥る可能性があるということなのです。

 

 

前述したように、JPX日本取引所グループが開示している資料によると、「独立性基準の抵触の有無に係る判断は、上場会社単体で考えることで差し支えない」とされています。

それを踏まえたうえで、上場企業が独立性基準に係る、独自の判断基準を設定していることも少なくないのです。

上場企業が独立性基準に係る独自の判断基準を設定している場合において、判断基準を厳しく設定している企業は、コーポレートガバナンスを遵守し、社外役員の独立性を保とうとする姿勢がみてとれます。

一方、判断基準を甘く設定している企業は、コーポレートガバナンスに対する意識が薄く、社外役員の独立性を保とうとする姿勢がみてとれない。と捉えることができ、経営陣の企業経営に対する姿勢が伝わってきます。

 

 

 

 ここで一つ、面白い記事をご紹介します。

 

企業法務の第一線で活躍されている弁護士の方たちが執筆している【BUSINESS LAWYERS】というサイトがあります。

そのサイトの中に

【社外役員の独立性に関する判断基準の分析(https://business.bengo4.com/articles/444)】という記事があり、上場企業が考える独立性判断基準の考え方がわかる、面白い内容が掲載されています。

一部記事をご紹介いたします。

 

 

 

 

独立性判断基準は、社外役員の独立性に影響を及ぼす可能性がある利害関係を定め、社外役員がすべての項目に抵触しない場合は独立性があると上場会社が判断する(いい換えれば、いずれかの項目に抵触する場合は独立性がないと判断する)ための基準として活用されています。

(※)対象会社310社のうち、独立性判断基準を策定している184社を分母として導入比率を算出。

 

 

 

いかがでしょうか?

紹介の記事は、独立性判断基準を策定している企業を対象としたデータですが、

記載内容に該当する人物を招き入れることについて、企業側としても独立性が保たれないという認識をもっていることが読みとれます。

 

経営陣と密接になればなるほど、社外役員としての独立性は保たれず、忖度が働き、不透明な経営を行われることが懸念されます。そのような状況にならないよう、明確な判断基準の基、しっかりと独立性が認められ、かつ一般株主と利益相反のおそれがない人物に社外取締役を引き受けてもらう必要があるということです。

 

しかし、実質的には重要な取引先であったとしても、他の一般取引先と何ら相違はないとしたうえで、独立性の判断基準をなんとか満たし、体裁の良い選任理由を付け加えれば、いかようにもできてしまうのが現状です。

 

厳正な審査の上選任された、社外役員を招き入れることに、抵抗がある経営者もいるかもしれませんが、これが正常に機能すれば、社内での議論にも緊張感が生まれ,各取締役の意識も大きく変わっていくことでしょう。

また、市場や既存株主からも一定の評価を得られ、取引先や顧客などから信頼を得られることもあります。

今後、益々激化するグローバル競争を生き抜くため、各企業必死で取り組んでおり、

確固としたブレない上昇志向と、時代の変化に対応できる柔軟さが企業に求められるのです。

 

 

それでもなお、現状維持に固執し、イノベーションを恐れ、上場企業としてその責務を果たせないのであれば、我々Japan Actは株主として声を上げ続けていかなければならないと考えています。