MENU

第2回 プロキシーファイト

2019.05.08

 

 

 

今回はプロキシーファイトの必要性について綴っていきたいと思います。

 

その前に株主提案に関して確認していきます。

 

議題提案権の行使にあたり、総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き保有する株主は、取締役に対し一定の事項を株主総会の目的とすることを請求できます。(議題提案権。会社法303条2項本文)

 

株主は上述した権利を行使することにより、自らが株主総会において提案し承認を受けたいと考える内容を実際に提案することで、他の株主に対して賛成、反対の意思表示を問うことができます。

これが株主提案です。

 

ではプロキシーファイトとは一体なにか。

 

プロキシーファイト(Proxy Fight)=委任状争奪戦と訳され、株主総会において会社の経営陣と株主の意見が対立した場合に、株主が自らの株主提案を可決させるために、議決権行使に関する委任状を他の株主から集めるための多数派工作のことをいいます。

 

しかし、プロキシーファイトは簡単に行えるわけではなく、プレスリリース、広告等のコストの問題や、通常の株主提案よりも煩雑な手続きを行わなければなりません。

ここで、流れについて少しだけ解説しておきます。

 

委任状の勧誘にあたっては、委任状勧誘規制に則り、被勧誘者に対して【上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令】で定める委任状の用紙及び参考書類を交付し、金融商品取引法194条、金融商品取引法施行令及び関東財務局にしかるべき届け出【上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令】を遵守しなければ委任状の勧誘は行えません。

 

上記の法令に基づき、関東財務局理財部統括証券監査官と発行体株主に発送する委任状及びその他の勧誘資料を相互に確認し、承認後、株主への発送手続きに進むことが可能となります。

 

 

プロキシーファイトの必要性

 

一般的には、会社の支配権を巡ってプロキシーファイトを行う場合が多いため、株主単独、又は共同保有分等で過半数近くの議決権が確保できる場合には株主提案だけでも十分戦えるかもしれませんが、多少コストがかかっても、手続きが煩雑でも、株主提案を可決させることができればそれ以上の見返りが望めるのです。多数派工作によって過半数の議決権確保の可能性がある場合にはプロキシーファイトを行う価値は十分にあるといえます。

 

過去の事例

・2007年のサッポロHDとスティール・パートナーズ(買収防衛策に対する反対)

・2007年のTBSと楽天(買収防衛策の導入基準引き上げ、取締役の選任)

・2009年のアデランスとスティール・パートナーズ(取締役の選任)

・2015年の大塚家具の創業一族内でのお家騒動(父親と娘の経営権争い)

 

 

 

我々のようなアクティビストは、必ずしも経営権の獲得だけが目的ではありません。

代表的な例は、2002年の東京スタイルと村上ファンドのプロキシーファイトです。

 

東京スタイルは1949年創業の婦人服メーカーで2001年当時の時価総額は約1000億円強に対し、1300億円にものぼる現預金、有価証券を保有していました。

 

時価総額以上に流動性の高い資産を保有しており、これだけでも非常に割安でキャッシュリッチな会社であることがわかります。

また、連結売上高が625億円、営業利益が48億円、経常利益が92億円、当期純利益が47億円、純資産が1576億円であり、本業のアパレルでの売り上げではなく莫大な資産に頼った極めて投資会社のような経営状況であったといえます。

当時、東京スタイルは500億円の不動産投資を予定していましたが、村上氏は本業とは関係のないハイリスクな投資を行うのではなく余剰資金は株主還元に充てるべきであり、1300億円の流動性資産を原資として大幅な増配と自社株買いを行うよう提案しました。

 

その後、東京スタイル側は小規模な自社株買いと増配を提案し、株主の支持を得ようとしましたが、納得のできない村上ファンド側とのプロキシーファイトに発展しました。

 

すると、味方に付いてくれると思っていた外国人株主の裏切りに遭い、村上ファンド側が負けることになりましたが、後に村上氏は高野社長に対して株主代表訴訟を起こし、村上氏の考えが間違っていなかったことを証明したのです。

 

 

当時もし、コーポレートガバナンスが意識されていた時代だったとしたら、このプロキシーファイトの結末はまた違っていたかもしれません。

 

時として、株主側に有利な経営陣を社外役員として送り込み、強制的に内側から経営を変えていくことも必要な状況があるかもしれません。

しかし企業の変革が求められる一方で、株主の変革も非常に重要になってくると考えています。

アクティビストのみならず、各株主自身が投資している会社の実情を把握し、株主全体のことや企業のこと、株式市場や日本経済の将来のためにどのように行動するべきかを、自らで考え、判断し、権利を行使するということが今後の日本市場には必要であると考えてます。

 

村上氏による、日本では初といわれるこのプロキシーファイトは、日本におけるコーポレートガバナンスの進展に大きな一石を投じたといえるのではないでしょうか。

 

我々Japan Actは、自らの利益の追求だけではなく、今後の日本市場、日本経済の発展に貢献していけるよう、信念をもって常に挑戦し続けていきます。